[会場レポ] 百の縁起もので開運を! 「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」展(百段階段、ホテル雅叙園東京・目黒)

2021年1月2日

投稿:M3PRESS編集部

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百段階段の縁起の良いモチーフを百個紹介する開運企画展

編集部撮影

新しい年の初めに百の縁起もので開運を。企画展「初春の文化財見学 百の縁起もの」が、日本美のミュージアムホテル、ホテル雅叙園東京(目黒区)の館内にある東京都指定有形文化財「百段階段」にて開催中です。本展は百段階段に描かれる「おめでたいモチーフ」の意味を分かりやすく紹介していくという新年にふさわしい企画で、3月14日(日)まで。編集部では開催初日の2021年1月1日、元旦にこの展覧会を取材してきました。

  • 取材協力:ホテル雅叙園東京さま
  • 記事中の写真は全て編集部の撮影

会場レポート

エレベーターホールに着物が展示され、さっそくめでたい雰囲気です。2領の着物にあしらわれた鶴が同じ方向に飛んでいくというストーリーのある展示方法にも注目。

編集部撮影

昭和35年に建てられた百段階段は、創業者である細川力蔵氏の「お客様に一日《お大尽気分》で過ごしていただきたい」という理念から、館内は天井や壁面、床柱など細部に至るまで、豪華な装飾品で埋め尽くされています。かつては結婚式の披露宴会場としても利用されていたこともあり、百段階段の館内装飾には、長寿や健康、富貴などおめでたい意味合いのある縁起もの(吉祥)のモチーフが多数存在しています。
本展は、これらの百段階段に描かれた縁起ものを紹介、そのモチーフに込められた意味をひもといてきます。

漁樵の間

今回の企画展は、百段階段の百の縁起ものを館内の随所に設置されたパネルとともに紹介していくという形式。そのため、いつもの会場レポートのように全ての部屋について紹介すると「完全ネタバレ」になってしまうので、この記事では漁樵の間を中心にご紹介していきます。

漁樵の間 編集部撮影

百段階段で一番のフォトジェニックさを誇る「漁樵の間」。室内はすべて純金箔、純金泥、純金砂子で仕上げられ、彩色木彫りと日本画に囲まれています。床柱は左右ともに巨大な檜に中国の漁樵問答の一場面が彫刻され、さらに格子天井には菊池華秋原図の四季草花図、欄間には尾竹竹坡(おたけちくは)原図の五節句が極彩色に浮き彫りされるという豪華さ。この漁樵の間だけでも15の縁起ものが紹介されています。

五節句(ごせっく)「人日(にんじつ)の節供」(29番目の縁起もの)

原画は尾竹竹坡、彫刻は盛鳳嶺(さかりほうれい)の手によるもの。漁樵の間はこの二人のコンビによる大作が多数装飾されてます。ちなみに、盛鳳嶺は国会議事堂の議長席や、内閣総理大臣、浜口雄幸の机なども手がけています。

五節句「人日の節供」(欄間の部分)編集部撮影

古来中国の「人の日」、1月7日の節供を表した作品。現代では七草がゆを食べることで知られますが、当時も正月最初の日に小さな松を引いたり若菜を摘んだりして長寿を祝ったということです。

春の桜、秋の紅葉(36番目と37番目の縁起もの)

床の間の美人画は、川井玉堂の弟子で花鳥画で帝展に名を重ねた菊池華秋(かしゅう)によるもの。右の「春の桜」では、桜の下でお花見を楽しむ人々の姿が描かれています。また、左の「秋の紅葉」では、紅葉の中を川下りを楽しむ人々の姿も。季節ごとに色合いを変える花や樹木を愛で、景色を楽しむことは時代を問わず人々の幸せと結びついてきました。

「春の桜」 編集部撮影
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床の間の畳部分にも

雷紋(らいもん、34番目の縁起もの)

床の間の下部の床框(とこがまち)部分の四角いうずまき模様は雷紋といい、稲妻を象徴しています。雷雨は万物を潤すものであり、その形は絶えることなく長く続く様子を表すことから吉兆文様とされているそうです。

七宝繋ぎ(35番目の縁起もの)

同じ大きさの円を重ねてつないだ文様で、中に花を配した「花七宝」が多く、古くは正倉院宝物の中にも見られるそうです。

漁樵の間、雷紋と七宝繋ぎ 編集部撮影

七宝とは金、銀、瑠璃、玻璃(または琥珀)、珊瑚、瑪瑙、硨磲(しゃこ)の宝物を意味しています。

吉祥モチーフは床の間だけではない!

隅板(すみいた)「蝙蝠(こうもり」(28番目の縁起もの)

何気なく通り過ぎて見過ごしてしまう、格子を補強するために四隅につけるための板「隅板(すみいた)」ですが、ここにも縁起ものが。よく見ると羽根を広げた蝙蝠の形をしています。 西洋では不吉なイメージの強い蝙蝠ですが、中国では「蝙蝠」の「蝠」の字が幸福の福のと音通であることから幸運を招くとされているそうです。

蝙蝠の隅板 編集部撮影

清方の間にはあの《築地明石町》が!?

清方の間の床の間にはあの《築地明石町》の複製が展示されていました。《築地明石町》といえば、鏑木清方の代表作でありながら長年行方不明だった幻の作品。2019年に44年ぶりに発見東京国立近代美術館が新収蔵、公開したのも記憶に新しいかと思います。なお、こちらの複製作品ついては購入が可能です。

頂上の間では豪華絢爛な着物を間近で見れます

頂上の間 編集部撮影

頂上の間にはおめでたいモチーフの着物が並びます。実際にホテルでの婚礼の時に使われていたもので、中には「現役」のものも展示されていました。また、「あなたにぴったりの縁起ものはどれ?」ということで百の縁起ものおみくじも。

百段階段の百の縁起ものおみくじ 編集部撮影

期間中限定オープン「吉祥茶房」(草丘の間)

草丘の間 「吉祥茶房」

草丘の間に期間中オープンの「吉祥茶房」では、おめでたい絵に囲まれながらお菓子とお茶を楽しめます。(1名さま千円)窓から見えるのは一つ下の階の「十畝の間」の屋根。当時の宴会の様子に思いをはせながら文化財の中でお茶が出来るという希有な体験ができます。

黒文字はお持ち帰りできます。 編集部撮影

ミュージアムショップも縁起物がたくさん

企画展毎に商品もレイアウトも変更され、まるで展示室のような百段階段のミュージアムショップ。今回は百段階段館内にも展示のあった「粋彩切子(すいさいきりこ)ぐい呑み逆さ富士」が、展示さながらにディスプレイされていました。

百段階段のミュージアムショップ 編集部撮影

真上から見ると花火の模様、逆さまにすると富士山になるという江戸切子のぐい呑み。仕上げは全て手磨きだそうです。

編集後記

「百段階段」を深く知り、文化財で宝さがしをするような気分を体験できるという、新年にふさわしい縁起のよい企画です。螺鈿細工の施されたエレベーターから格子の隅板まで、百段階段の様々な場所に「縁起もの(吉祥)」が隠れていることに驚きます。そして、この「昭和の竜宮城」の根底に流れる「お客様を喜ばせたい」という創業者・細川力蔵氏の理念にあたらめて感動しました。

ネタバレを避けて、記事では本当に一部しか紹介していませんが、百段階段が初めての方もリピーターの方も、きっと自分だけのお気に入りの吉祥に出会えるはず。

目黒は江戸時代から七福神めぐりで親しまれてきた、寺社仏閣の多いエリア。山手七福神でも知られる、大圓寺や目黒不動尊(瀧泉寺)などの開運スポットと一緒に2021年の開運を願ってみては。

開催概要

  • 展覧会名:「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」
  • 開催期間 :2021年1月1日(金・祝) 2021年3月14日(日)※2月1日(月)は休館
  • 開催時間 :12:30~18:00 (最終入館17:30) ※2021年1月1日 1月3日までは10:00~18:00(最終入館 17:30)
  • 入場料 :1,000円、学生 500円  ※要学生証提示、未就学児無料
  • 会場:ホテル雅叙園東京内 東京都指定有形文化財「百段階段」
  • お問合せ :0354343140(イベント企画10:00~18:00)
  • 主催 :ホテル雅叙園東京
  • チケット販売窓口
  • ホテル雅叙園東京 および本展公式ホームページ内オンラインチケット
  • オンラインチケットでは、通常の入場券のほか、優先的にご入場いただける日時指定券もお求めいただけます。
  • ※1月1日~1月11日、2月2日~2月11日にご来場の方にはオリジナルポストカードをプレゼント(お一人様1枚)
  • 公式オンラインチケット:https://www.etix.jp/100event/

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