「世界報道写真展2020」今年度は開催中止 / コンテストは日本人カメラマンが41年ぶりに大賞受賞

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から今年度の展覧会開催は中止に

 東京都写真美術館で開催予定の「世界報道写真展2020」ですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点より、来場者・関係者の安全を考慮し、展覧会の開催が中止されることになりました。これは、主催である朝日新聞社が2020年5月19日に発表したものです。
 63回目を迎える同展は、本年度はAFP通信の千葉康由氏が世界報道写真大賞を受賞。日本人カメラマンとしては41年ぶりの受賞、全体では125の国と地域から4,282人のフォトグラファーが応募していました。

  • 2020-05-19追記
  • リソース:「世界報道写真展2020」東京展広報事務局さま
  • 記事内の画像、写真、文章等の全てについて転載および引用を禁止します。

世界報道写真大賞2020受賞はAFP通信の千葉康由氏が受賞

  • 世界報道写真大賞2020 一般ニュースの部 単写真1位 千葉康由(日本、AFP 通信) まっすぐな声
  • 2019年6月19日、灯火管制下のスーダン首都ハルツームで、デモ参加者が文民統治を求めるスローガンを唱えるなか、携帯電話のライトに照らされ詩を朗読する一人の若者。


展覧会の公式図録はオンラインで購入が可能

 本展覧会の公式図録は朝日新聞 SHOPで販売する予定があります。詳細については、本展公式ツイッターでアナウンスがあるとのことです。



500万人が足を運ぶ世界最大級の写真展

  • スポットニュースの部 組写真1位 ムルゲタ・アイェネ(エチオピア、AP通信) エチオピア航空墜落事故の犠牲者を悼む女性
  • 2019年3月14日、アディスアベバ近郊のエチオピア航空機墜落現場を訪れ、犠牲となった身内の死を自らの顔に土をかぶって嘆き悲しむ遺族。エチオピア航空302便は3月10日、離陸して6分後にレーダーから姿を消し、墜落。乗員・乗客157人全員が死亡した。

 「世界報道写真展」は年間を通じ総計約500万人が会場に足を運ぶ世界最大級のドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。同展は1955年にオランダのアムステルダムで世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まりました。

  • スポットニュースの部 単写真 ファールーク・バティーシュ(アルジェリア、DPA 通信) 警官隊と衝突する反政府デモ参加者
  • 2019年5月21日、アジェリアの首都アルジェで反政府デモの中、機動隊ともみ合う学生たち。デモ隊は、大統領選挙の中止と文民による民主主義への復帰を求めた。
  • 世界報道写真大賞候補 現代社会の問題の部 単写真1位 ニキータ・テリョーシン(ロシア) 悪気はない-戦争の裏側
  • アラブ首長国連邦の首都アブダビで開催された国際防衛展示会および会議(IDEX)の展示最終日の2月18日、一対の対戦車擲弾(てきだん)発射筒をしまい込むビジネスマン。

 毎年、1月~2月にかけて主に前年に撮影された写真を対象に開催される「世界報道写真コンテスト」から国際審査員団によって選ばれた入賞作品が「世界報道写真展」の作品として、世界中の約120会場で展示されます。

  • 一般ニュースの部 組写真3位 イヴォール・プリケット(アイルランド、ニューヨーク・タイムズに提供) 見舞いを受けるクルド人負傷兵
  • 2019年10月20日、重い火傷を負いシリアのハサカの病院に収容されたシリア民主軍(SDF)の兵士アフメド・イブラヒム(18)を見舞ったガールフレンド。看護師に促されて病室に入り、アフメドの手を取り短い会話を交わした。
  • スポットニュースの部 単写真2位 黒川大助(日本、EPA 通信) ナイロビのデュシットD2ホテル襲撃 
  • 2019年1月15日、ケニアの首都ナイロビで高級ホテルや企業オフィスが入る複合施設が襲撃され、治安部隊が実行犯を捜すなか、避難する女性たち。

 過去の日本人の大賞受賞者は3人で、毎日新聞の長尾靖氏(1961年、日本社会党の浅沼稲次郎委員長刺殺の瞬間を捉えた写真)、沢田教一氏(1965、66年、ベトナムの戦場を撮った写真、2回受賞)、そしてAP通信の三上貞幸氏(1979年、成田闘争で反対派の一人が火炎びんの炎に包まれる瞬間を写した写真)。
 また、2016年には「人々」の部(99年より「ポートレート」に変更)の組写真において、チェルノブイリ原発事故から約30 年後の現実を伝えた小原一真氏が1位に選ばれています。

作品紹介

  • ポートレートの部 単写真1位 トメク・カチョル(ポーランド、ガゼタ・ヴィボルチャ紙ドゥジィ・フォルマトに提供) 目覚め
  • 15歳のアルメニア人少女は、生存放棄症候群(別名あきらめ症候群)による緊張性昏迷状態からこの間目覚め、ポーランドのポトコバ・レシナにある難民一時収容施設で両親に両脇から支えられて、車椅子に座る。
  • スポットニュースの部 組写真 ムルゲタ・アイェネ(エチオピア、AP 通信) エチオピア航空302便墜落事故の現場
  • 2019年3月17日、エチオピアのアディスアベバにあるホーリートリニティ大聖堂で執り行われたエチオピア航空302 便墜落事故の追悼式で犠牲者の写真を抱く遺族ら。

 コンテストは「現代社会の問題」、「一般ニュース」、「環境」、「自然」、「長期取材」、「スポーツ」、「スポットニュース」、「ポートレート」の全8部門。それぞれが「単写真(写真1枚)」と「組写真(複数の写真で構成)」に分かれています(「長期取材」を除く)。

  • 世界報道写真ストーリー大賞 長期取材の部1位 ロマン・ローランドー(フランス) 「同胞として」-蜂起の起源
  • アルジェリアの首都アルジェのバブ・エル・ウエッドでトランペットを持ち込む若者の姿に、たちまち人が集まる。トランペットの演奏の仕方など知る者は誰もいないが、熱気が一気に広がる。アルジェリアに数十年ぶりの大規模な抗議運動を生み出した若者たちの深い苦悩の物語を追った。

 また昨年より、複数の写真を用いてストーリーとして事象を表現した作品を評価する「世界報道写真ストーリー大賞」が新設されています。

  • 一般ニュースの部 組写真1位 ニコラ・アスフーリ(デンマーク、AFP通信) 騒乱の香港
  • 2019年9月12日、「人間の鎖」の集会に参加した後、道路を渡り学校に向かう香港の学生たち。

 入賞者は部門ごとに各1位から3位までのいずれかとなり、入賞者の中から、その年の最も優れた作品に対して「世界報道写真大賞」「世界報道写真ストーリー大賞」が贈られます。大賞と順位はオランダにて4月16日に発表されます。

  • 環境の部 単写真2位 ノア・バーガー(米国、AP 通信社に提供) マーシュ火災との闘い
  • 2019年8月3日、米国カリフォルニア州ブレントウッド地区の近くで発生した、マーシュ・コンプレックスと名付けられた複合火災と闘う消防士。
  • 単写真 アロン・スカイ(南アフリカ、サンデー・タイムズ紙) ムサの闘い、ステージを探求して
  • 南アフリカのヨハネスブルグのニュータウンにおいて練習活動後にポーズをとる松葉杖のプロダンサー、ムサ・モサ。ムサはサッカー選手として成長が期待されていたが、11歳の時骨肉腫の診断が下され、膝から下を切断した。
  • スポーツの部 組写真3位 キム・ギョンフン(韓国、ロイター通信) 日本のベテラン・ラグビー選手
  • 東京の「不惑倶楽部」は1948 年に創設されたメンバーが40歳以上のラグビークラブ。埼玉県熊谷市で開かれる試合を前に練習する永山隆一(中央)は86歳で、倶楽部で最年長の現役選手だ。
  • 自然の部 組写真1位 アラン・シュローダー(ベルギー、ナショナルジオグラフィック誌に提供) オランウータンを救う
  • インドネシアのオランウータンは、熱帯雨林の減少と分断化の進行による厳しい脅威にさらされている。迷子になったりけがをしたりしたオランウータンを野生に戻すことを目指して保護し、再社会化を図る活動を行っている団体のスタッフたち。

公式HP

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