《見所紹介》特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」(国立科学博物館)

2021年8月19日

投稿:M3PRESS編集部

特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」(国立科学博物館)の展覧会詳細が発表となりました。古代エジプト文明の研究でも世界を牽引してきたイギリス・大英博物館の研究成果を紹介する本展では、6体のミイラが選りすぐられ、CTスキャンを用いた画像解析によって、外側からはうかがい知ることのできないミイラの謎を解き明かすほか、古代エジプト人の生き様や文化が紹介されます。

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特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」、2021年10月14日(木)に開幕へ

王家の葬祭儀式を担う役人、代々続く名家の神官、既婚女性、幼い子ども等、展示される6体のミイラは、年齢や性別、社会的立場や暮らしていた時代も様々。彼らはどのような人生を送ったのちにミイラとして残ったのか――? CTデータをもとにした解説映像や、それぞれのミイラに関連する展示物を交えながら、6つの物語が展開します。

神々の像やミイラ作りの道具は古代エジプトの信仰や死生観を垣間見せる一方、女性の装飾品や子どものおもちゃなど、現在と変わらない彼らの生き様も今に伝えています。最新テクノロジーを駆使したミイラ研究によって、およそ2000年以上前の人々をこれまでになく身近な存在に感じられる展覧会となります。

また、2019年に日本の調査隊が発見し、現在も調査が続いているサッカラ遺跡のカタコンベ(地下集団墓地)を実寸大の部分模型で再現されるほか、国立科学博物館の猫ミイラが初公開されるなど、日本だけの特別展示にも注目。会期は、2021年10月14日(木)から22年1月12日(水)まで。

「ミイラ展」は一大ブーム!?

直接タイトルに入っていなくても、古代エジプトがテーマの展覧会では必ず取り上げられるミイラは、常に人気を博しています。近年に編集部で取材したものでも「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展 美しき棺のメッセージ」(Bunkamura・ザ・ミュージアム)、特別展「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」(東京都江戸東京博物館)『特別展ミイラ~「永遠の命」を求めて』(国立科学博物館、2019年)など多数あります。他にも「古代アンデス文明展」(国立科学博物館、2017年)でもミイラが来日していました。

国立科学博物館とミイラ展

科博でのミイラ展といえば、同じく大英博物館の所蔵品をフィーチャリングした「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」(2006年10月~2007年2月)、また一昨年は「特別展ミイラ~《永遠の命》を求めて」(2019年)が開催されており、それぞれ30万人、40万人以上を動員。本展もかなり注目を浴びそうです。

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大英博物館について

英・ロンドンにある大英博物館は世界で最も名高く人気のある博物館のひとつです。

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大英博物館 外観
© The Trustees of the British Museum

1753年に8万点の収集品から始まったそのコレクションは、250年以上を経た現在では実に約700万点にも及びます。エジプト、ギリシャ・ローマ、アジア、ヨーロッパなど8つの部門をもち、先史時代から現在に至る文化遺産の殿堂として知られる同館、なかでもエジプト部門はその「顔」ともいえる重要な位置を占めています。

展覧会のみどころと6体のミイラ

  • 大英博物館より選りすぐりの6体のミイラと約250店の貴重な遺物が展示に
  • ミイラ1体について約7,000枚ものCTスキャン画像から作成された映像により、生前の健康状態やミイラ化の過程などを解き明かす高精度な「ミイラの復元映像」
  • 本展監修者の一人でもある、金沢大学・河合望教授の率いるチームが発掘中のサッカラ遺跡のカタコンベを実寸大部分模型で再現するなど、日本独自コンテンツも登場します

アメンイリレト テーベの役人

アメンイリイレトは、カシュタ王(前760~前747年頃)の娘アメンイルディスの所領を管理していた役人で、その地域の名士でした。アメンイルディスの死後1世紀以上後の時代の人物であり、その地位から得た富によって立派に埋葬されました。

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アメンイリイレトの内棺と、ミイラのCTスキャン画像から作成した3次元構築画像
末期王朝時代・第26王朝、前600年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

彼のミイラは、厚さ12cmにもなる亜麻布の層で覆われ、豪華なビーズネットが胸部から足首を覆うように置かれていました。極めて良好な保存状態で、古代エジプトにおけるミイラ作りのよい例の一つです。古代エジプト人は、来世で復活するためには肉体が残っている必要があると信じていました。死者の肉体はミイラとなることで、神に近い属性をもつ神聖なものとして作り変えられたのです。

ジェドバステトイウエフアンクのカノポス壺

古代エジプトにおいて、肝臓や肺、胃、腸はそれぞれ人物全体を体現していると捉えられていました。それぞれの内臓はミイラ作りの過程で防腐処置が施された後、「ホルスの4人の息子」(イムセティ神〈人間〉、ハピ神〈ヒヒ〉、ドゥアムウトエフ神〈ジャッカル〉、ケベフセヌウエフ神〈ハヤブサ〉)によって守護されたカノポス壺に収められました。

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ジェドバステトイウエフアンクのカノポス壺
前380~前343年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

ネスぺルエンネブウ テーベの神官

テーベ(現ルクソール)で最も重要な宗教施設であったカルナク神殿の神官で、彼の職務は神像が安置された祠堂の扉を開け、聖油を捧げることであったと考えられます。ネスペルエンネブウのミイラには、数多くの護符や装身具が包帯の中に安置されていました。これらは死者を保護し、不死の力を得る手助けとなる呪術的な力をもつと考えられていました。

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カルトナージュ棺に納められたネスペルエンネブウのミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像
第3中間期・第22王朝、前800年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

古代エジプトでは八百万の神々が信じられており、神々は様々な姿で表現されました。ネスペルエンネブウのミイラの棺にも、ハヤブサとタマオシコガネ(フンコロガシの一種)で表された太陽神(ケプリ神)やオシリス神といった、死者に新たな生命を与える力をもつ主要な神々を象徴する文様が色鮮やかに描かれています。

ホルス神に授乳するイシス女神像

膝の上に座った息子ホルス神に授乳するイシス女神の両側に、2柱の女神ネフティスとムウトが立っています。

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ホルス神に授乳するイシス女神像
前664~前332年、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

ホルスの父オシリス神を殺害したセト神が、ホルスを殺すことでエジプトの掌握を試みましたが、イシスは湿地帯に身を隠すことでホルスをセトから保護したという神話の一部を示しています。

ペンアメンネブネスウトタウイ 下エジプトの神官

下エジプト(北部エジプト)に暮らしていたとされるペンアメンネブネスウトタウイは、バステト神などを祀った神殿に仕える神官でした。彼のミイラには、ミイラ作りにおいて通常取り除かれることの多い脳が残されており、ミイラ作りの手法は時期や地域によって変化した可能性があると考えられます。

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ペンアメンネブネスウトタウイの内棺と、ミイラのCTスキャン画像から作成した3次元構築画像
第3中間期・第25王朝、前700年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

木棺やミイラからは、彼の遺体がテーベでミイラ化されたことが示唆され、遠く離れた南部の地で他界したようです。また、本展で展示される4体全ての成人のミイラには、「現代病」と言われるアテローム性動脈硬化症の症状が見られ、この病気が古代エジプトの時代から存在していたことがわかります。古代エジプトにおける病気の治療は、専門家である「スウヌウ」(医者)による薬を使った療法に呪術的な儀式、呪文が組み合わせられました。薬のなかには、蜂蜜や銅といった抗菌作用をもつものも含まれていました。

猫の青銅製像

ペンアメンネブネスウトタウイは複数の神官の称号をもっていましたが、そのなかには「バステト女神の下僕」もありました。通常、バステト女神は猫の姿で表され、デルタ地帯の町、テル・バスタをはじめ、各地の神殿で崇拝されていました。この像のなかには元々猫のミイラが入れられていた可能性があります。

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猫の青銅製像
前664~前332年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

タケネメト テーベの既婚女性

タケネメトは前700年頃に生きた既婚の女性で、そのミイラは3層に入れ子状になった棺の中に納められていました。棺にはタケネメトが、オシリス神などの神々の前でシストルムという楽器を奏でる姿が描かれています。

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タケネメトのミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像
第3中間期・第25王朝、前700年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

彼女の死亡時の年齢は35~49歳と推定されますが、内棺には若い女性として描かれています。タケネメトのミイラは、幾層もの布で丁寧に包まれ、数千ものビーズで作られたビーズネットが置かれていました。CTスキャンの結果から、髪は頭頂部で束ねられてミイラにされていたことが明らかになりました。

襟飾り

襟飾りは、エジプトの装身具のなかで最も特徴的なものの一つです。「幅広いもの」を意味するウセクと呼ばれ、その多くは複数段のビーズの連なりで構成されました。墓のレリーフや壁画では、一般的に女性が胸部に装着しています。この襟飾りは、いくつかの腕輪などとともに墓から発見されたものです。

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襟飾り
前2040~前1985年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

ハワラの子ども

古代エジプトでは子どもの遺体がミイラにされることはほとんどありませんでしたが、ギリシャとローマの支配者がエジプトを統治したグレコ・ローマン時代(前332~後395年)になるとその習慣は増加したようで、多くの例がエジプト北部ハワラの墓地遺跡から発掘されています。

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子どものミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像
ローマ支配時代、後40~後55年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

このミイラの死亡時の年齢は3~5歳で、彼の小さな体は丁寧に幾層もの布で巻かれていました。頭部の布には、大きな目に短い前髪と長い襟足をもつ幼い男の子の肖像画が繊細に描かれており、彼が裕福な家庭の一員だったことを示しています。古代エジプト人にとって「家族」は生活の中心に位置づけられており、その様子は絵画や彫刻にも頻繁に描かれました。子どもたちは家族の構成員として描かれるのが常で、大抵は裸で、頭の横で一つに束ねた髪房や口元に指を置いている姿で表されました。

車輪がついた馬の玩具

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車輪がついた馬の玩具
前30年以降、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

ローマ支配時代の出土遺物には、様々な種類の玩具もあります。この車輪のついた馬の玩具は現代のおもちゃにも通じるもので、馬のたてがみ、鞍、馬を縛るバンドが描き込まれています。

グレコ・ローマン時代の若い男性

グレコ・ローマン時代でもミイラ作りは慣習的に継続されましたが、その技術や様式には変化が見られます。特に、ローマ支配時代になるとミイラの外見がより重視されるようになりました。この若い男性は、ギリシア支配時代(プトレマイオス朝時代)あるいはローマ支配時代初期の人物と考えらますが、棺に詳細は表記されておらず、個人についての情報は判明していません。

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若い男性のミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像
プトレマイオス朝時代後期~ローマ支配時代初期、前100~後100年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

CTスキャンの結果、このミイラは胸部と腹腔が大きく破損していることがわかりました。肉体はミイラ化された後に中背部から手が加えられた痕跡が見られ、価値の高い護符が取り出されたとみられています。また、一部を除いて骨の成長がほぼ終わっていることから、死亡時の年齢は17~18歳と推定されています。

黄金のカルトナージュのミイラマスク

埋葬におけるマスクは、プトレマイオス朝時代からローマ支配時代にかけても使用され続けました。食事や言葉を話すための感覚器官が集まった頭部は古代エジプト人にとっても重要で、ミイラ職人はその保存に特に注意を払いました。

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黄金のカルトナージュのミイラマスク
前100~後100年頃、大英博物館蔵、
© The Trustees of the British Museum

この像は理想化された姿をしており、黄金の顔をもつエジプトの神々に変身した死者を表しています。

初公開!”かはく”の猫のミイラ

阿波・徳島藩の18代当主である蜂須賀正氏氏がエジプトで入手し、国立科学博物館に寄贈した標本です。

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猫のミイラ
国立科学博物館蔵

鳥類学者であり冒険家でもあった蜂須賀氏は、1923~1924年にかけてエジプトで調査旅行をしており、1922年に発見されたばかりのツタンカーメン王墓を日本人として初めて訪問したことでも知られています。本展では、この猫のミイラのCTスキャン画像をもとに作成した映像も紹介されるとのことです。

開催概要

開館時間、休館日、入場料、入館方法などは未定です。決まり次第、ご案内いたしますとのことです。

  • 特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」
  • 2021年10月14日(木)~2022年1月12日(水)
  • 国立科学博物館(東京・上野公園)
  • 公式サイト https://daiei-miira.exhibit.jp
  • 問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

展覧会公式サイト

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特別展「大英博物館 ミイラ展 古代エジプト6つの物語」

大英博物館からミイラがやってくる!6体のミイラを選りすぐり、CTスキャンを用いた…
daiei-miira.exhibit.jp

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