担当学芸員の絵巻の展示方法への不満とは? 特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 報道発表会

土屋 貴裕 東京国立博物館 学芸企画部企画課特別室 主任研究員
編集部撮影

 2021年春開催予定の特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」(東京国立博物館)。誰もが知っている日本絵画史上もっとも有名な作品のひとつといえる、国宝「鳥獣戯画」。本展では甲・乙・丙・丁全4巻の全場面を会期を通じて一挙公開、さらに4巻から別れた断簡、模本の数々も集結、〈鳥獣戯画のすべて〉を堪能できる展覧会となります。

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特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」開催は2021年春に延期

2020年5月29日追記:

 本展は当初2020年7月14日(火)から8月30日(日)までの開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い、会期が変更されました。延期後の詳しい会期や関連イベントなどの予定については、あらためて展覧会公式サイトおよび東京国立博物館ウェブサイトなどでアナウンスされるとのことです。

 この記事では、2020年2月13日に取材した記者発表会より現在わかっている内容を紹介します。

  • 記事中の写真は全て報道発表会にて編集部による撮影。
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国宝全4巻、全長44メートル超を一気に観覧できるのは、展覧会史上初の試み。

 「鳥獣戯画」は2009年からの4年に及ぶ解体修理の後、京都国立博物館(2014年)、九州国立博物館(2016年)、中之島香雪美術館(2019年)で公開されてきました。東京国立博物館でも2015年に特別展「鳥獣戯画 京都高山寺の至宝」というタイトルの展覧会が開催されています。井上洋一 東京国立博物館 副館長からは、オリンピック・パラリンピックイヤーである2020年の特別展を選定する中、日本美術を代表する作品であり、子供から大人まで楽しめるテーマを模索、「鳥獣戯画」こそが「飛んだり跳ねたり、まさにオリンピックのシーンを思わせるのでは」ということで決定したというエピソードも。

井上 洋一 東京国立博物館 副館長
編集部撮影

 今までの「鳥獣戯画」の展覧会と大きく違う点は、会期中のまき替えなし、44日間の通期にわたり、甲・乙・丙・丁の4巻の全場面、全長44メートル超を全て展示するという点。これにより、例えば甲巻の前後半では作者・制作年代が違いますが、全巻公開ならではの見比べが可能となります。



担当学芸員の絵巻の展示方法への不満とは

土屋 貴裕 東京国立博物館 学芸企画部企画課特別室 主任研究員
編集部撮影

 本展覧会では展覧会史上初の試みとして、国宝「鳥獣戯画 甲巻」の鑑賞に「動く歩道」が導入されます。この「動く歩道」は、空港や駅などに設置されているものと同基準の仕様で、本展覧会のために製造されるものです。
 報道発表に登壇した土屋 貴裕 東京国立博物館 学芸企画部企画課特別室 主任研究員は「絵巻は本来は本来は巻き広げながら見るものであり、静止画ではなく動画的な媒体。通常の展示ケースだと静止画としての展示となってしまい、この点で従来の展示方法について不満があった」と語りました。

動く歩道のイメージ 編集部撮影


 古美術の観覧で動く歩道を使うのは前代未聞の新しい試みであり、絵巻の本来的な鑑賞方法に近い他、全ての来場者が最前列で鑑賞できる、快適な鑑賞体験を提供することになります。

開催概要

  • 展覧会名:特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」
  • 会期:2021年春
  • 会場:東京国立博物館 平成館
  • お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

展覧会公式サイト

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