バーチャル東京国立博物館を体験してきた|バーチャル特別展「アノニマス ―逸名の名画―」、「時をかける少女」の展覧会を再現

東京国立博物館・文化財活用センター・凸版印刷が開設した「バーチャルトーハク」を取材

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特別展示室 Virtual Tohaku

 アニメーション映画「時をかける少女」の劇中の展覧会を再現した特別展「アノニマス ―逸名の名画―」がバーチャル東京国立博物館(以下バーチャルトーハク)にて、2020年12月19日(土)より開催されます。
 「バーチャル」とあるとおり、この特別展はインターネット上のバーチャル空間で行われるオンライン形式の展覧会。来場者はバーチャルSNS「cluster」内にCGで再現されたバーチャル東京国立博物館(以下、バーチャルトーハク)内を自由に歩き回り作品を鑑賞します。
 特別展示室では「時をかける少女」の劇中に登場する架空の美術作品とともに、国宝「孔雀明王像」、「玄奘三蔵像」(以上 東京国立博物館蔵)も展示され、映画では全容が明かされない展覧会の内容を体験することができます。
 編集部では、事前に開催された報道内覧会にオンライン参加、実際にバーチャルで行われる展覧会を体験してきました。

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バーチャルトーハク 奥に再現された本館が見える 編集部撮影
  • 取材協力 東京国立博物館さま 凸版印刷株式会社さま
  • 記事中の画像は「編集部撮影」と表記されているものは報道向け内覧会にて編集部による撮影(キャプチャー)によるもの。それ以外は、主催者さまご提供の広報用画像となります。記事中の画像、写真、文章の引用および転載をすべて禁止します。


展覧会のみどころ

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バーチャル特別展「アノニマス ―逸名の名画―」 Virtual Tohaku

 バーチャルトーハクは、独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館(台東区)、独立行政法人国立文化財機構文化財活用センター(台東区)、そして凸版印刷株式会社(千代田区)により開設されたものです。本展はアニメーション映画「時をかける少女」(以下 「時をかける少女」)のスタジオ地図・細田守監督とのコラボレーション企画となります。

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大階段 Virtual Tohaku

 「時をかける少女」のストーリーで重要な意味を持つ美術作品「白梅ニ椿菊図」(実存しない、映画内のみ登場)。劇中の展覧会では、この架空の絵画に中心にさまざまな作品が展示されています。特別展「アノニマス ―逸名の名画―」では、バーチャル上でその展覧会を再現、松嶋雅人氏(東京国立博物館研究員・文化財活用センター企画担当課長)の監修のもと、国宝「孔雀明王像」や、「玄奘三蔵像」(以上 東京国立博物館蔵)など、作者が不明とされながらも、名品として脈々と受け継がれてきた作品を集めました。映画では全容が明らかにされていない展示内容を、cluster内に開設された「バーチャルトーハク」を通じて体験が可能です。



架空と現実が交錯するユニークな特別展

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アニメーション映画「時をかける少女」における博物館のシーン ©「時をかける少女」製作委員会2006

 2006年のアニメーション映画「時をかける少女」に登場する展覧会は、「アノニマス」展として松嶋雅人氏が実際に構成を行っています。細田守監督と学生時代から交流があった松嶋さんによると、実存しない劇中内の美術作品「白梅ニ椿菊図」にちなんだ作者や制作年代が不詳作品や、ストーリー同様に時空を飛び越えることをイメージできる作品を集めたということです。

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「白梅ニ椿菊図」実存しない、映画内のみ登場

 例えば、「白梅二椿菊図」の左側に展示される「玄奘三蔵像」(重要文化財 、東京国立博物館蔵)は、三蔵法師がお経を背負って帰るシーンを描いており、映画のコンセプトとも一致します。

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「玄奘三蔵像」(東京国立博物館蔵)

 また、映画内では”異世界”に入った時のサインとしてキャラクターの輪郭線を赤で表現していますが、これは神仏を表す時の日本美術の約束事と合致している ということです。

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国宝「孔雀明王像」(東京国立博物館蔵)

 また、バーチャル展示会場のやや奥に展示される「悲しみの聖母 親指のマリア」(重要文化財、東京国立博物館蔵)は、監修時にも選定されていますが、映画には出てこない作品。キリシタンの持ち込んだ礼拝画で作者不詳の本作品は、現在開催中の企画展示「世界と出会った江戸美術」(平成館企画展示室で、2021年1月11日〈月〉まで)で実物を見ることができるなど、鑑賞体験の代替手段ではなく、実際に博物館に足を運ぶことでさらに楽しめるような、リアルとのつながりが仕掛けられている点もユニークです。

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バーチャル特別展の体験方法

 編集部も実際に「バーチャル報道内覧会」として本展を一足早く体験してきました。ゲームをしないこともあってオンラインの3D空間にあまりなじみのない記者でしたが、意外と難しいものではありませんでしたのでご安心を!
 本展への来場にはcluster(クラスター)というサイトのサービスを利用する形になります。「cluster」は、スマートフォンやPC、VR機器など様々な環境からバーチャル空間に集って遊べる、マルチプラットフォーム対応のバーチャルSNS。バーチャルなので上野公園の東京国立博物館まで行く必要はなく、全国どこからでも来館可能です。
 流れとしては、バーチャルSNS「cluster (クラスター)」にアカウント登録しチケットを購入、専用アプリをダウンロードすることで、スマートフォンやPCからバーチャル会場へアクセスできます。入場料は290円(税込み、購入方法によって価格変動あり)で、1度購入すれば期間中何度でも出入りOKです。

バーチャル会場のようすなど

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本館前。カメラの画角や範囲も自由に変更できる 編集部撮影

 バーチャルトーハクでは、展示室だけではなく本館の入り口からエントランス、大階段も再現されており、これらをアバター(自分のキャラクター)を操作しながら特別展示室へ入室することになります。特別展示室以外のエリアは無料エリアとなっていて、チケットなしでも自由にバーチャルトーハクの中を歩き回ることができます。現実同様に用意されたフォトスペースでは写真撮影も可能です。

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バーチャルトーハク 記念撮影スポット Virtual Tohaku
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大階段 Virtual Tohaku
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本物同様に再現された大階段。天井部分にはバーチャルならではの演出も 編集部撮影
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大階段 2階部分 Virtual Tohaku

特別展示室

 大階段を上がった奥がバーチャル特別展示室。本館18室をモデルにしており、作品の展示構成も映画の設定と同じに再現されています。

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特別展示室 国宝「洛中洛外図屛風」 東京国立博物館蔵 Virtual Tohaku
特別展示室 国宝「孔雀明王像」 東京国立博物館蔵 Virtual Tohaku

12月18日(金)「細田守監督×松嶋研究員
スペシャルトークライブ」開催

(左)細田守<撮影/神藤剛> (右)松嶋雅人

12月18日(金)にはclusterのバーチャル特別展「アノニマス ―逸名の名画―」内にてトークショーが開催されます。特別展会場に設置したステージで、細田監督と松嶋研究員がclusterアバターで登場し、「時をかける少女」をはじめとする現代アニメーションと日本美術の関係や、バーチャル特別展「アノニマス ―逸名の名画―」の展示作品の映画との関連性などについてトークセッションを行います。
 「映画も、美術史2000年の美の大系の中にある」と語る細田監督作品の表現とはどのようなものか。これまで日本美術を中心に多彩なキュレーションを行ってきた松嶋研究員が、日本美術史の最先端表現としてアニメーションをとらえ、細田監督作品の革新性と、現代における表現にも脈々と受け継がれる日本美術の面白さについて紐解きます。
 チケットは1,100円(税込)でバーチャル特別展「アノニマス」のガイドツアーも実施を予定しているということです。チケットの購入方法や詳細等については、公式サイトをご確認ください。 

開催概要

  • 名称:バーチャル特別展「アノニマス ―逸名の名画―」
  • 主催:東京国立博物館、文化財活用センター、凸版印刷株式会社
  • 特別協力:スタジオ地図
  • 会場:バーチャルトーハク 特別展示室 (cluster内)
  • 期間:2020年12月19日(土)~2021年2月28日(日)
  • 入場料:290円(税込) *購入方法によって価格が変動します。詳細はイベント特設サイトをご確認ください。

特設サイト

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